肛門科専門医である佐々木みのり先生が公開しているブログ、「みのり先生の診察室」に掲載されている「こどもの痔」に関する記事を紹介します。
明るくストレートな性格で患者さんやスタッフから親しまれている佐々木みのり先生は、大阪府大阪市中央区釣鐘町にある肛門科専門の診療所「大阪肛門科診療所」の副院長を務められており、体の悩みのアドバイザーとして多くの新聞や雑誌などで取り上げられています。
尚、今回掲載する記事の内容は、みのり先生のブログの内容が損なわれないように配慮しておりますが、編集上の都合で一部表現が異なる箇所があります。
通常、肛門科は胃腸科や内科、外科などの他の科と一緒の病院が多いのですが、当診療所では肛門科のみを専業としています。
当診療所に訪れる患者さんは、赤ちゃんから100歳くらいと年齢層が幅広く、こどもが痔になるの!?と驚かれる方がいますが、便秘をすれば年齢問わず痔になります。
痔は、中高年の人がなるものだと思われている人が多いようですが、当診療所の待合室には若い女性患者さんがたくさんおり、初めてこられる方は結構驚かれます。
赤ちゃんや小児は小児科に行くことが多いので、よほど困らない限り肛門科には来ませんが、当診療所には便秘で通院する幼稚園児や小学生、中高生もいます。
こどもの痔で多いのは切れ痔(裂肛)で、硬い便が出るときにオシリが切れます。なので便秘の治療をすれば良くなることがほとんどですが、出した後に便が残っていると飲み薬だけでは治りません。
出始めの便だけが硬くてその後の便は柔らかい、その様な事が続くと切れ痔を繰り返します。また、痔が治らない状態が長く続くと切れ痔の傷に残った便が入り込んで炎症を起こしたり化膿したりします。
そうすると肛門の縁(ふち)に皮膚の突起物ができます。これは見張りイボです。これをイボ痔ができたと慌てて来院される方もいますが、これはイボ痔ではなく皮膚の突起物なのでイボ痔の手術はいりません。ただ、切れ痔をきちんと治さないと悪化して大きくなりますので、放置せずに治療しましょう。
小児科でよく出されているのが酸化マグネシウムで、マグミットやマグラックスなども同じ薬ですが、これは便の水分を増やして柔らかくする飲み薬です。
便を出す薬ではなく単に柔らかいウンチを作る薬なので、これから作られる便を軟らかくすることはできますが、既にできている便には効きません。なので、これを飲んでも出始めだけ便が硬いのであれば、便を出し残している可能性大です。
排泄がきちんとできていないので、便を出し切れてないんです。なので、薬を飲んでも切れ痔が治らないのです。
それと、肛門の周りに軟膏を塗っても切れてるのは肛門の中なので効きません。薬は傷口にをつけないとダメなのでオシリの中に入れるタイプの注入軟膏や座薬がいいですね。
でも、肛門の中が便まみれだと薬を入れてもちゃんと効きません。長く薬を使っているのに治らないというケースの大部分はこれです。便が残ってるから肛門の中が便まみれなんです。
また、最近のお子さんは温水便座をよく使いますが、オシリの洗いすぎです。温水便座の水圧で切れ痔になるケースもありますので、オシリは、洗いすぎず、拭きすぎず、こすりすぎをしてはいけません。
便がスッキリ出てたら、何回もオシリを拭かなくてもオシリはキレイになります。いつまでもキレイにならないのは、肛門に便があるからです。
便はスッキリ出し切りましょう。これは大人も子供も同じです。治療の第一歩は正しい排泄からです。
あなたのお子さんは排便の時に痛がっていませんか?出血したり、拭いた紙に便が何度も付きませんか?肛門の外側に突起物はできていませんか?
症状が悪くなる前にちゃんと治療しましょうね。
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大阪肛門科診療所 女医・副院長 佐々木 美礼先生 診察や治療はもちろん、麻酔から手術まで一人でこなす。 元皮膚科医としての経験を活かし、肛門周囲の皮膚病である肛門掻痒症の治療にも積極的に取り組む。 日本大腸肛門病学会で、肛門掻痒症の治療に関する論文発表。 |
大阪医科大学卒業。
大阪大学皮膚科学教室入局。
阪大病院、大手前病院、東京女子医大病院で皮膚科医として勤務。
平成10年より現職。
皮膚科医から肛門科医へ転身。
平成10年 女医による肛門科女性専門外来を開設(日本初)
平成19年 肛門科専門医(注1)を取得(関西の女医で初)
平成23年 肛門科指導医を取得
(注1)日本大腸肛門病学会認定:大腸肛門病専門医のうち外科系肛門領域を専門とする医師のこと。
〒540-0035 大阪府大阪市中央区釣鐘町2-1-15
TEL : 06-6941-0919
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